木曜日、見舞いにいく/スガシカオ

yukami_dna2009-03-06

薬のにおいがはなをついて部屋を出た
晴れた五月の木曜日
今日も明け方 並びの部屋で誰かが
静かに旅立ったらしい
 
"また、来る…"とだけ言い残した
臆病なぼくをゆるしてほしい
 
あなたがもう言葉にしなくても ぼくにはわかるから…
続いてゆく全てのことが 永遠じゃないこと
 
その日はねむった おもくよじれた体を
やみの中に横たえた
遠くの森が風に大きくゆらいだ
"明日の朝にはやむのかな…"
 
数えきれない未来と
数え足りない思い出と
 
何か伝え忘れたことは
ぼくにはもうないけど…
あと少しだけ話ができるなら
何を話すのだろう