フィル・コリンズ引退。

私の青春時代を支えたのは彼だった。英語の時間、先生がAnother Day In Paradiseを聴かせてくれたあの時から。ハスキーとはまた違う、シンセサイザーみたいな声がとても好きだった。彼の紡ぐメロディーライン。そしてその歌詞。
GENESISにもソロにも好きな歌は沢山あるのだけれど、特に私を、16歳の私を支えたのは「No Son of Mine」だった。
 

 

「お前は息子ではない
 お前は私の息子ではない
 お前は出て行ったのだ、私たちを残して
 お前は私の息子ではない」

 
あの頃。悲鳴と怒号と涙と叫びと。そんな事が何年も続いていたあの頃。潰されそうに苦しい歌詞だけれど、この歌が私を何度も打ちのめし、震わせ、それでも掴んで放さなかった。中学生だった弟も「きついよな、この曲」と涙をにじませながら、それでも私と一緒になって聴いていた。早く日本に来て欲しい、ツアーをやって欲しいと願ったけれど彼等は日本には来ず、そしてフィルはジェネシスを脱退した。
結局私は一度だけ、「Both Sides」の時のソロツアーに行くことが出来た。それが最初で最後。ジェネシスでの彼を見る事無く、今日彼が引退すると知った。残念だけれど、今まで有難うと言いたい。